事務所は意外と狭く、中には机が8個と5人の従業員らしき人達がいるだけだった。
見るからに場違いな服装の私達を見て、一番近くに座っていた中年男性が、怪訝そうな表情で話し掛けてきた。
「何の御用ですか?」
「あの、少し前にこちらで御世話になった筈なんですけど…」
「何を?」
「あ、三春市が葬儀を行った古本屋の…」
どう受け答えをするのかシュミレーションをしていなかった私は、度々言葉に詰まった。
「それで?」
私の態度を怪しんだのか、無愛想な口調が益々冷たくなってきた。
「こちらで火葬されたんですけど、市の担当者が誰だったか分からないかと思いまして」
愛美が私の代わりに、理路整然と話した。
普段はおっとりしているが、こういう時には、なぜか頼りになる。
「ちょっと待ってよ…」
事務所の男性は愛美の話を聞き、近くにあった青いファイルを手にした。
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