断罪者


顔を上げてシャッターの方を見ると、暗闇にぼんやりと何かが浮かんでいた。

目を凝らすと、それは徐々に輪郭が鮮明になり、何であるか分かってきた。


「お前達、パスワードは見付かったのか?」

その声に、私はその影が店主である事を確信し、カウンターから後退りした。

「ふっふっふ…
私には何の力もない。
安心するが良い」


予期せね事態に、私も愛美も背後の壁に張り付き、言葉すら出せなかった。

そんな私達を見て薄ら笑いを浮かべると、店主は話を続けた。

「お前達…いや、あの占いサイトの意味が分かった人間が、閉鎖しようとする事など、予測していないとでも思っているのか?

当然、パスワードを探そうとする事も、予測の範疇だ」


確かに、自分の死ですら利用した店主が、私達が思い付く様な事に何の手も打っていないなど、考え難い…


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