「あったよ」
私はカウンターの下にあった箱の中に、音楽関連のカセットテープを見付けた。
「本当?」
愛美が直ぐに駆け寄ってきた。
しかし私が除き込む箱の中身を見て、直ぐに黙り込んだ。
「これ…何曲あると思う?」
箱の中には、見える範囲だけでも、カセットテープが30本以上あったのだ。
この中から店主の好きな歌を選ぶ事など、果たして可能なのだろうか?
カセットテープが入っている箱を、カウンターの上に乗せて再度確認すると、52本入っていた。
「これ…どうすれば良いの?」
「どうしようか…」
私も愛美も、カセットテープの山に途方に暮れてしまった。
現実問題、この中から探す事など不可能だ。他に何かヒントでもないと…
2人でカウンターに向かい考え込んでいると、シャッターの方向に何か気配を感じた――
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