「千里、何ボケっとしてるのよ。早く探さないと」
「あ、うん」
そうだ。
今は後悔したり、感傷に浸っている場合ではない。好きな歌を探さなければ…
私も居間にある、棚やタンスを調べ始めた。
部屋の中には、生活に最低限必要な物しかなく、娯楽といえる様な物はテレビくらいしかなかった。
そもそも、室内にプレイヤーが無いところを見ると、CDやMDのといった物があるとは思えない。
20分程室内を探した後で、愛美が視線を店舗に移した。
「あとは、お店の方しかないね」
「うん」
もし音楽関係の物があるとすれば、いつも店主が座っていたレジの場所しか考えられない。
しかし、店舗の方を見ると、表のシャッターが下りている事もあり暗く、異様な雰囲気がしていた。
当然、電気も止まっていて灯りを点ける事も出来ない為、その暗闇に入るしかない。
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