開いている…?

窓の戸締まりまでしているにも関わらず、肝心の裏口の鍵をしていないなんて事があるのだろうか…


「千里、早く入るよ」

何か嫌な感じはしたが、今はそんな事を言っている場合ではない。

中に入れるという事実だけを、考えるんだ。


私は愛美と共に、古本屋の中に入っていった。



中に入ると、そこは狭い台所だった。広さは4畳半程で、2人用の小さい食卓と食器棚、僅かな電気製品以外は何もなかった。


台所から店舗の方へと入っていくと、扉1つで6畳の和室に繋がっていた。

この和室の奥は、もう古本が山積みされている店舗だ。

あとは風呂とトイレだけで、部屋はない。実質、調べる場所は、この部屋だけだ。


この場所に来ると、あの日の店主の姿を思い出し、気持ち悪くなる。

あの時、もっと話し合っていれば、こんな事にはならなかったかも知れない…


.