古本屋の正面は、幅が3メートル程のシャッターが下りていた。

所々錆びて塗料が剥げ落ちた緑色のシャッターには鍵が掛かっていて、持ち上げ様としても微動だにしなかった。

あの神経質そうな町内会長が戸締まりをした事を思えば、当然だろう。


古本屋と右隣の空き家になっている貸店舗との間には、幅が1メートル程のスペースがあり、どうやら裏口へと続いている様だった。

私達は周囲に気を配りながら、そのスペースに入り、古本屋の裏口へと回った。

建物の横を通る時にあった窓を確認したが、やはりしっかりと戸締まりされていた。


裏に回ると、裏口と思われる木製の扉があった。

当然、ここも鍵が掛かっているに違いない。見付からない様に、鍵を壊して中に入らなければ…


「千里、鍵が掛かってないよ」

ドアノブに手を掛けた愛美が、振り返って言った。


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