「千里…
まさか、自分が捕まるかも知れないとか、そんな事を考えてるんじゃないでしょうね」
「え…」
いつになく真剣な表情の愛美に、私は気圧された。
「これはさ、私達個人が逮捕されるとか、そんな小さい問題ではないでしょ。
私達が止めないと、大勢の生命が奪われるのよ?
今は個人の事など考えず、もっと大きい視点で考えなきゃいけないでしょ」
「愛美…」
私は愛美の言葉に、一言も反論出来なかった。
私は小さな事にこだわり、大切な事を忘れていた。
これは私達の戦いであると同時に、みんなの生命を守る戦いでもあったのだ。
「よし、行こう!!」
私はベンチから立ち上がると、愛美と共に古本屋へと向かった――
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