結局――
町内会長に色々と話しを聞いたが、求めている歌についての情報は全く得られなかった。
これ以上の情報源を持たない私達は途方に暮れ、駅前のベンチに座り込んだ。
「どうしようか…」
「うん…
あ、そうだ――!!」
項垂れていると、愛美が私の肩を叩いた。
「あるじゃん、これ以上ない情報源が!!」
「はあ?」
頭を上げると、愛美が駅とは反対方向を指差していた。
一体何を…
愛美が指差す方向には、あの古本屋があった。
「あそこよ。
もう誰も住んでいないんだし、忍び込めば良いじゃん」
「え――!!」
確かに、古本屋に侵入すれば情報があるに違いない。
でも、一歩間違えれば犯罪者だ。それに、しっかり施錠されている筈だし…
私が決断出来ずに考えていると、愛美が立ち上がって言った。
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