「それより、あの人の遺骨がどこにあるのか、知ってるのかい?」
「いえ…」
そう言えば、葬儀の時は身内が見付からず、市が行ったのだった。
あの後、親族は見付かったのだろうか?
「あの人の遺骨は、この近くにある禅福寺に預けられているんだよ。
町内会長が親族を探しているみたいだけど、見付からなくてね」
「子供とか、いないんですか?」
「さあね…
そういった話は、一切しなかったからねえ」
私達は古物屋の店主の話を聞き、禅福寺に行く事にした。
他に全く手掛かりがない為、何か新しい情報がないか確認する事にしたのだ。
禅福寺はここからだと、あの古本屋の前を通り過ぎ、300メートル程先にあるT字路を右折した辺りにあるらしい。
私達は来た道を引き返し、駅方面を通り過ぎた。
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