「じゃあ、どこから行く?」
「うん。あの踏切り事件の時に、店主は踏切りの前にある古物屋と知り合いだと言ってたから、まずはあそこに。
あ…
忌まわしい場所だし、愛美は来なくて良いよ」
「大丈夫だよ」
無理に笑顔を作る愛美を連れて行く事は気が進まなかったが、あの事件を克服しようとする姿を止める事は出来ない。
私は愛美と共に、踏切りの傍にある古物屋に行く事にした。
駅前から踏切りへと続く道は、2年前と変わらず当時のままで、あの日の事を鮮明に思い出す。
狭い歩道のすぐ左隣には2メートル程の金網があり、その向こう側は線路だ。
あの日以来、愛美はこの道を通っていない。
並んで歩いていた愛美が一度立ち止まり、深呼吸をした。
「無理しなくて良いのに…」
「大丈夫、少し気合いを入れただけだから…行こう!!」
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