前原が死んだ?
肩が急に重くなり、その場に膝から崩れて床に両手をついた。
なぜ?
今朝話しをした時には、落ち込んではいたもののそんな素振りは無かったのに…
「知花…」
沙菜が身を屈め、私の肩に手を置いた。
分かってる…
分かってはいるけど、それでもやるせない。
教室に戻ると教師達は緊急の職員会議をしているらしく、自習になっていた。
だからと言って、教室の窓からクラスメイトが飛び下りた直後だけに、誰一人静かに自習をしている者などいなかった。
私が自分の席に座り、気持ちの整理が出来ずに呆然としていると男子生徒達の会話が耳に入った。
「やっぱ前原の奴、稲村を追い掛けて自殺したんじゃないのか?」
「おおっ、愛だな愛!!」
面白半分に茶化す態度に、私は無意識のうちにその男子生徒達を睨み付け叫んでいた。
「ふざけないで!!
人が2人も死んでるのよ、死んでるのよ!!」
私に視線が集まり、教室内が静まり返った。
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