「驚いたな。 俺も見たよ……その夢」
「え?」
慶介は、何か考えるようにあたしの顔をじっと見て、それからポリポリと頭を掻いた。
……そうなの?
不思議なことに、あたしと慶介は同じ夢を、同じときに見ていた。
こんな事ってあるんだろうか?
あたしは、夢の中の少女の事を思い返していた。
長い黒髪をなびかせて、小さな顔に大きな瞳が印象的な女の子。
無邪気に笑う幼い笑顔。
どこかでその顔……
うん。あたしその顔知ってるよ。
そう思いながら、あたしは顔を上げた。
見上げた先には、また手帳に視線を落とした慶介の横顔がある。
黒い髪。
綺麗な肌。
無邪気な笑顔。
そうだ……慶介に、似てるんだ。
その視線に気づいて、慶介はあたしに視線を移す。
無造作にセットされた前髪から、いつもの優しい眼差しがあたしをとらえた。
「ん?」
気のせいだろうか。
昨日より……うんん、一秒前よりも慶介のその表情からはとても大きな感情が流れてくる気がした。
あはは……うぬぼれてるのかも。
ドキン
高鳴る鼓動。
ドキン
ドキン
心地よいリズムがあたしの体全身を駆け巡る。
「……いつか、会えるのかな。 あの女の子に」
あたしは、ぼんやりと慶介の顔を眺めながらそんな言葉を口にしていた。



