「うっわーッ!すごいね、ここ。 もっと早く気がついてれば毎朝ここで朝食とったのに!」
そう言って、後ろからついて来ていた慶介を振り返った。
あれ?
お店のほぼ中央に、大きなグランドピアノが置かれていた。
まるで、そこだけにスポットライトが当たっているかのようにさえ見える。
それだけ、そのピアノの存在感は際立っていた。
「おッはよー」
ピアノに近づこうと足を進めた瞬間、店内に響き渡るような明るい声がして、あたしは少しだけ体を震わせた。
び……びっくりした。
振り返った先には。
「昌さん? それにアツシ君も……」
「よかった、まだここにいた。探してたんだ」
そこには、ニコニコと微笑む2人の姿があった。
昌さんも、月島さんのことはもうふっ切れているかのような笑顔。
アツシ君の肩に置かれた昌さんの腕が、その意味を物語っているようであたしは嬉しかった。
「探してたって?俺たちを?」
いつの間にかあたしの隣まで来ていた慶介が、首を傾げた。
「そうなんです。 よかった、間に合って」
「お詫び。 したくて」
アツシ君がポリポリと首を掻きながら笑う。
それからあたし達に歩みよった昌さん。
眉を下げて、笑う彼女はやっぱり色っぽい。
「お詫びって、なんの?」
「せっかくの新婚旅行……ほとんど俺たちが邪魔しちゃったでしょ?
だから、せめてものお詫びと、お礼」
「そんな……気にしなくていいのに。あたし達もおかげでたくさんの思い出が出来たから」
そうだよ。
アツシ君や、昌さんのおかげであたし達は素直な気持ちを打ち開ける事が出きたんだから。



