頬を何度も何度も涙が伝う。
泣いちゃダメ。
そう思ってたのに。
あたしってこんなに泣き虫だったかな?
拭いても拭いても溢れてくる涙に、あたしはとうとう両手で顔を覆った。
「……なにがあったんだよ」
黙って、優しくあたしの背中を撫でてくれていた慶介の低い声はあたしの体をそっと包む。
そんなに優しくしないで……
あたし、慶介に触れてもらう事しか考えてないんだ。
その大きな手であたしを包んで欲しくて……
その低くて少し掠れた声であたしの名前をもっと呼んで欲しくて……
「…う…ヒック……」
そんな事しか考えてないあたしは、優しくされる権利ない。
「泣いてちゃわかんないだろ?」
泣いてばかりのあたしに、慶介はまるで子供をなだめるようにさらに声のトーンを落とした。
そして顔を覆っていたあたしの手をそっと離すと「しょうがないヤツだな」と言うように眉を下げて笑った。
もぉ……
だから……
だから、あたしは……
「あ……あたしは慶介が…す…好きなのに……
こんなに好きなのに……うっうぅ」
「……」
キョトンとした表情の慶介。
あたしの言葉に少し驚いたように目を見開いている。
慶介の……
慶介の………
「慶介のばかぁーーっ!
あ……あたし……そんなに魅力ないかぁー!」
「え? ちょ……ちょっと、待て?」
「何で抱いてくんないの? なんでキスから先はいつもないの?
あたし……女らしくないけど……
胸もないけど……かわいくないけどぉ…
でも、だけど……だけどぉ……ばかぁぁあ」
……もう めちゃくちゃだ。
自分でもなに言ってるのかさっぱりだし。
きっと最悪の結果になった。
だって、慶介ってば顔を手で覆っちゃって悩んじゃってるもん。
「……はぁ」
さらに耳に飛び込んで来たのは、大きな溜息。
…………言うんじゃなかった。



