うん。

慶介の言うとおり。
あたし、怖かった。 いつもと違う慶介に戸惑った。


でも、ね?


ほんのちょっとだけ……嬉しかったんだ。








今日も、晴天。

空は青いし、海はエメラルドグリーンだし。
風も、まるでダンスをするみたいにあたしの髪をくすぐった。




「えええぇぇえ!!?」



そんな、穏やかな空の下、あたしの声がこだました。
目をパチクリさせて見上げた先には、慶介が耳に指を突っ込んで迷惑そうにこちらを見下ろした。


「……慶介って……スキューバのライセンス持ってたんだ」


「言ってなかった? 学生の頃ハマっててさ。よく潜りに行ってたんだ」


先に歩きながら、慶介はあたしを振り返った。
その顔は、すごく楽しそうで無邪気な笑顔に不意打ちに胸が弾む。



……聞いてない!!

スキューバって……
ほんとに何でも出きるんだな……



ほぇ~



「なんて顔してんだよ。 おいてくぞ」


「あ! ま、待ってよ!!」



あたしの顔を見て呆れたように鼻で笑うと、さっさと先に行ってしまう。
パタパタとその背中を慌てて追いかける。


昨日は、オアフ島観光をしたから、今日はのんびりビーチで過ごそうと決めてた。
スキューバ……とまではいかないが、シュノーケリングをやりに来たんだ。

慶介の運転する車で着いたビーチは、穴場スポットのようで観光客はほとんどいなかった。



なんで、こんな場所知ってんだろ?
地元の人しか知らなさそうなのに……。


青い空……
流れるわたがしのような雲。
まるで鼓動のように静かな波の音。
白い砂浜。


あたし達にまんべんなく降注ぐ太陽。
その光を浴びて
どこよりもどこまでも碧い海。
その底を敷き詰めているピンクや白の珊瑚たち。


すべてが特別に見えてしまう。




そう……ワイキキビーチも素敵だけど
あたしにはここがまさに南国のビーチ。