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「昌達は結婚前提で付き合ってた。 ……婚約までして、結婚式が2ヶ月前に迫った5月に…彼は忽然と姿を消したんだ。 昌の前から…日本から」



そう言うと、アツシ君は投げ出した足を自分の方へ引き寄せながら体を起こした。



「ニューヨーク、パリ、ロンドン……そして、このハワイ」


「……」


「昌は彼の会社がある国を探して回った。 でも会えなくて…もう半ば諦めてるんだと思う。 このハワイで最後なんだ。 ここで会えなかったら諦める。 あいつそう言ってたから……」




彼の横顔を見つめたまま、あたしはただ黙って話を聞いた。
地面を見つめていたアツシ君は、何かを思い出したようにふっと笑うと、あたしをチラリと見た。



「……そうだ。 俺も初めて会った時驚いたんだけど…慶介さんにそっくりなんだよ。 その昌の彼氏が」


「え?」



キョトンとするあたしを見て、アツシ君は残ったジュースを一気に飲み干した。





「え…あの……それって…」


「葵ちゃぁん!」





その時、あたしを呼ぶ大きな声がして、驚いて手に持っていたカップを落としそうになってしまった。



…ひゃ!

あッあぶなかった!!



声のした方へ顔を上げた。






あ………慶介…。