―――……
――…




「はあぁあ」




大きな溜息をつくのは、もちろんあたし。

理由はただひとつ。


目の前の、パイナップル迷路を見つめては、また溜息をついた。



「――お待たせ。……大丈夫?」



顔を上げると、アツシ君がパイナップルジュースを両手に持ってあたしの座るベンチに腰を下ろすところだった。



「…何が…ですか?」



イライラしながら、あたしは彼から視線を逸らした。
アツシ君は、ジュースをあたしに手渡して「ごめんね」と言った。



―ブゥゥ!


って、意味不明な事を言いそうになりながら、ジュースを一口飲んでそれを押し流した。



……むぅ、美味しいし。






30分前――



――――――……
――――…




『よぉし! さっそく体験しちゃおう! 慶介君、行こうッ』

『えっ ちょ…な…なん…』


抵抗する慶介。

昌さんの纏わりつく手から、必死に抜け出そうとしている。

でも、彼女の力は思いのほか強くて……慶介、捕獲。

あたしは、トイレに行って戻ってくる時に迷路の入り口に消えて行く2人を見たんだ。

目の前の光景を疑ったよ…



『なんでぇぇええ!!?』


走って追いかけたけど、間に合わなかった……

なにこれ…?


もう、呆然とするしかない。
あたしは開いた口が塞がらなかった。




――――……
――――――……





「はあぁ」


あたしは、一気にコップの中身を飲み干すと、彼をジロリと睨んだ。