ハッピー☆ハネムーン


聞き覚えのあるこの叫び声…。

今まさにあたしの口に放り込まれる寸前のパンが、行き場をなくして固まった。



あたしは、ぽかんと口を開けて、慶介の顔を見た。
慶介の視線は、あたしを通り越してさらに向こう側を見つめている。

慶介もティーカップを手にしたままだ。



「うそぉ!こんな事ってあるの?」



朝からハイテンションの声があたしの頭上に響いた。
恐る恐る振り返る。



なんで…?





「……あ…昌さん…?」



たくさんの料理が乗ったプレートを手にして、キラキラと満面の笑みを浮かべた昌さんが立っていた。



「何だあ、同じホテルだったんだ。すごい偶然だね」



体のラインをしっかり出したTシャツに、ショートパンツを穿いた彼女は、昨日のドレスアップしていた時とはうって変わって、一瞬誰だかわからなかった。

活発そうで、まるで子供のような幼い印象だった。



「…ほんと…すごい偶然ですね」



あたしは、ようやくパンをお皿に戻し、昌さんを見上げた。



……あれ?

あたしはそこでようやく、彼女の背後に『誰か』がいる事に気が付いた。




「……昌?」



背の高い昌さんの後ろに見える、もう1つの影。
その影が、ようやく彼女から剥がれて顔を出した。




………あ



この人…この人って…




「あなた達は…… 昌の知り合いだったの?」