すでにベッドに入っていたあたしに、ジリジリと歩み寄る慶介。


ギシ…


ベッドが軋む音。



ま…まさか…?


急に胸がドクンと騒ぎ出した。



少し伸びた前髪の間から、あたしを捕らえたままの慶介の瞳。
あたしは、急に魔法に架かったかのように身動きが取れなくなった。



どう…どうしよう……


ガチガチの体。


自分でも息をするのがやっとだとわかる。

あたし…全然成長してないし。




堪らず視線を手元に落とす。
手のひらにじっとりと汗をかきながら、あたしはシーツを握り締めた。




視界の中に、慶介の手が見えた。
体温を感じる距離にいる。
あからさまに緊張してるあたしを見て、慶介が笑ったように思えた。
もう、顔は真っ赤だ。

部屋が真っ暗でよかった……



「……」

「……」



一体どれくらいの時間がたってるんだろう。
きっと数秒の事。

だけどあたしには永遠に感じた。




息が詰まりそうな空気の中、慶介が少し息を吸い込むのがわかった。










「…葵」


「………」



慶介の大きな手があたしの頬を包んだ。