ほろ酔い加減の彼女。
ねえ…あの…名前は?
ノンアルコールのあたしは素面で楽しそうな彼女を見上げた。
「……」
その先の慶介と目が合う。
困ったように、眉を下げた慶介。
「ほんっとに嫌になるわよぉ。弱っちぃ男は!! ね?そう思うでしょ?」
「え?」
慶介は急に話をふられ、あたしから視線を彼女に落とした。
むぅ…
さっきから気になってるんだけど…
「ね? お兄さん!! …ん?お兄さん…結構いい顔してるんだね。やだぁ、あたしタイプかも」
「ああぁぁあ!!!」
もーう!!
慶介に触んなぁああ!!!!
思わずあげた大きな声。
慶介は、その言葉に表情1つかえないでカウンターに置いてあったグラスに手を伸ばした。
あたしの声に、さすがの彼女も「え?」と振り返る。
睨んでやる!!
だから、2人の距離近いからぁ!!
あたしだって、人前じゃそんなに慶介に近づいた事ないのに。
あたしを見た彼女はキョトンとしていたが、急に納得したように「ああ」と頷いた。
「ごめんね……寂しかった? 妹ちゃん」
「………へ?」
「ぶはッ」
小首を傾げて、可愛い笑顔を見せる彼女。
ポカンと大きな口を開けたまま、彼女を見つめるあたし。
その先で、慶介が口元を押さえて肩を震わせていた。
慶介のばかぁあああ!!!