黄色を基調にした店内は、すごく明るい雰囲気。
お店の奥には小さなステージもあって、そこでは大柄の男の人がギターを片手にハワイアンミュージックを歌っていた。
その音楽のリズムに合わせて踊っている人もいたりして。
みんなの顔には笑顔が浮かんでる。
でも…。
初めて海外を経験するあたしには、少し抵抗がある。
少しでも、日本人がいれば言葉が通じるんだろうな…とは思うけど。
日本語が出来そうな人はいそうにない。
大丈夫かなぁ…
あたしの心配をよそに、慶介は何のためらいもなく店内の空いている席についた。
あたしは、そそくさと慶介の後に続く。
席につくと、体格の良いホールスタッフがすかさずお冷を持って現れた。
その手には不釣合いな程、小さなグラスとメニューを少し乱暴にテーブルに置いていった。
「こ、こわ…」
黒く焼けた肌の大柄な男に、あたしはさらにビビッてしまう。
慶介と言えば、いつもと変わらず「何にする?」なんてあたしを見た。
差し出されたメニューを覗くと、あたり前だけど全部英語。
「………慶介は?」
「俺は、アンチョビ・フィッシュとロコモコ…あとポキサラダだな」
「……あたしもそれで」
わかんない…なにがいいのか…
はあ…もう少し、ハワイの事勉強してくるんだったな…



