君に出会ったのは、

夏に訪れた避暑地だった。



日の照る坂道の上で

たった一言、

「暑いね」

と言葉を交わした。



それだけの関係。

たった一言の関わりだった。



だけど僕は君を覚えてたんだ。



ただなんとなく、

君が脳裏に焼き付いて

夏が過ぎれば会えなくなる君を

僕はただ、覚えていたんだ。








だから君は、

夏の匂いがする。

夏の終わりの匂いがする。