肩で息を切らす少女が呼吸を整えるまで、それほど時間はかからなかった。
それが若さか…。

「あの…あたしの携帯…」

そう言ったのは、可愛い方のユカちゃんだった。

俺は拾った携帯を差し出す。

「はい、これ」

「ありがとうございます!」

ユカちゃんはデコ電を受取り、うれしそうに頭を下げた。

「これなかったら、あたし生きて行けなかったです!」

「ははは、携帯より大切なもんは人生にはいくらでもあるよ」

「そんな事ないよ~。
あの…何かお礼したいんだけど…」

俺はギャル系の口から出るには思いがけないセリフに驚いた。