「雅紀。」


「今は!」


私が雅紀に御礼を言おうとすると、途中で遮られた


「今は、何も言わないで行って?」


雅紀は何かを必死に堪えるように、目尻を押さえた




ありがとう



私は心の中で呟いた


辛い時、側にいてくれた雅紀


優しく、慰めてくれた雅紀


好きになってくれてありがとう…


そして、精一杯の優しさをありがとう


私はそのまま後ろを向いて、学校を目指して走っていく


もう、要先輩は待っていないかもしれない


あきれて帰ってるかもしれない


でも…

でも、



私は無我夢中で走った