「話したくないなら、聞いてくれるだけでもいいよ。」


黙り込んだ私を見て、要先輩は申し訳なさそうに言う


「僕が…雪那ちゃんを花火大会に誘ったの覚えてる?
あれ、僕は【雪那ちゃん】を誘ったんだからね。
他の人じゃなくて、雪那ちゃんを。」



私はハッと顔を上げる


「明日、いつもの場所で待ってる。」


要先輩はそう言って、雨の中を傘もささずに走って行った



要先輩の言葉が響く


【他の人じゃなくて、雪那ちゃんを】





力が抜けて持っていた傘がおちる



雨は、容赦なく私をたたき付けた