分厚い雲に覆われた昼下がり。 大学生のわたしは、3限目の授業をサボりお昼をとっている。 神崎裕子。 それが私に与えられた名前だ。 読み方は、ヒロコ。 よくある、特に特徴もない名前だ。 「あつ…」 今にも雨が降りそうな天気なのに、わたしにまとわり付く空気は一向に熱を冷ます様子はない。 夏を間近に迎えた6月。 22歳のわたしは、大学3回生を継続中。 まあ、ただ留年しただけのよくある話。