おいてきぼりのピエロ



「…でね、まじキモいんやけどっ!」
「確かにそれはキモいな」
そう答えたのは槙さん。
女みたいな名前で、女みたいな容姿だけど立派男の子。
「やろー?結局身分教えてくれんとこが更に怖いし!」
「つか裕子、屋上なんで入れたん?そっちのが俺には謎やん」
「ああ…」

チャリ、と金属音を立て、グッチのキーケースからぶら下がる数本の鍵を見せた。
「これ」
その内の一つに指さし、指で弾いた。
「屋上の鍵」

唖然とした表情を浮かべる槙さん。
「あり得んやろ。とうやって手に入れたん?」
「んちょっと新米教師に色かけて♪」

ちょっと得意げに言うと手加減なしのでこピン。
「っ…たぁー!」
「そんなことしちゃいけません!」
「お客様に暴力はいけません!!」

槙さんはこの“ジャンク”というカフェバーの店長。
何故か気に入られ、かれこれ4年は通っている。