愛しい遺書

翔士が帰った後、あたしはシャワーを浴びた。髪を乾かしていると心地よい睡魔が襲って来て、ソファーの上で少し仮眠をとった。


――ガチャッ


玄関の鍵が開くような音を、あたしは夢見心地で聞いていた。


――キィ


リビングのドアが開いた。

これは夢じゃない。あたしは寝呆けたままソファーから体を起こした。

「わりぃ。寝てていいよ」

明生だった。

「おかえり……」

あたしは目を擦りながら言った。

「ただいま。」

明生は小さな包み紙をテーブルの上に置いた。

「……何?」

「出張みやげ」

煙草に火を付けながら明生は言った。

「ありがと……」

あたしは思いもしない明生からのプレゼントに寝呆けてる場合じゃないと、舞い上がった。

包みを開けると、大きなティアドロップ型のガーネットが3連になった、ゴールドのピアスだった。地金の部分にはちゃんと『K18』の刻印もあった。

「昨日の客がさ、こういうの売ってる店の店長だったんだよ」

「……高かったんじゃないの?」

「……まあな。でもしょっちゅうお前に世話になってるからな」

短くなった煙草を揉み消しながら明生は言った。

「ありがとう。大事にする」

あたしは嬉しさで涙ぐみそうな気持ちでいっぱいだった。

「じゃあな」

そう言って明生は立ち上がった。

「コーヒーくらい飲んでったら?」

あたしは明生の背中に向かって言った。

「いや……約束してっから」

そう言って明生はスニーカーを履いた。きっとあの「クミ」って子……。

「そう……。今日、店に来るの?」

「うん。……オレは行きたくねぇんだけどな」

「どうして?」

「お前、泣きそうな顔すんだろ?」

……図星。

いつもなら中指立ててやるのに、今日はできなかった。

「またな」

そう言って明生は出て行った。










今日の衣装は真っ赤なタイトミニのドレス。それに揃えて真っ赤な12センチヒールのパンプスと、真っ赤な薔薇の大きな髪飾り。それらに合わせてがっつりデコレーションしてあるネイルチップも鮮やかな赤を選んだ。