愛しい遺書

そして、翔士も同じように感じているのか、いつの間にか2人掛けのソファーに横になり、片肘をついてくつろいでいた。DVDを再生してる間、ぽつりぽつりと会話する程度で翔士は真面目に見ていた。

会話がなくなったと感じて翔士の方を見ると、翔士はソファーの肘掛を枕にして眠っていた。あたしはテレビの音量を低くし、寝室からタオルケットを持って来ると、翔士に掛けた。翔士は少しだけ動き、Tシャツの袖から手を突っ込み、肩をポリポリと掻いた。

あたしは驚いた。

翔士の肩に絡まるような緑の鱗。刺青が入っていた。それも今流行りのトライバルとか、可愛らしい感じではない。いかにも極道が背負っているような、本格的なものだ。あたしは見てはいけない物を見てしまったような気分になった。

出会った日と今日で2度、どうにかなる機会はあったのに、翔士が何もしてこないのは、これが理由なんじゃないかと感じた。

翔士は何か隠してる……?

でも、好きで入れてるだけかもしれないし、疑うのは翔士に対して申し訳ない。あたしは何も見なかった事にして、首までタオルケットを掛けた。









気が付くとDVDは終わりメニュー画面に戻っていて、翔士に掛けたはずのタオルケットがあたしに掛かったいた。あたしも眠っていたらしい。翔士の方を見るとソファーに横になったまま、片肘をついてこっちを見ていた。

「今何時……?」

寝呆け眼で翔士に話し掛けた。

「……10時過ぎたとこ」

翔士はソファーから起き上がり、煙草に火を付けた。

「オレ、途中で寝ちまったんだな」

DVDのケースを手に取りながら翔士は言った。

「もう一回見る?」

あたしはDVDプレーヤーのリモコンを掴んで言った。

「いや。借りてっていい?」

「うん。いいよ」

テレビのリモコンに持ちかえて、チャンネルを回した。ちょうどバラエティー番組の料理コーナーが入っていた。

今日のメニューは『夏野菜のスパイシーカレー』。若手アナウンサーが助手を務め、おぼつかない感じで野菜を切っていた。