「今日はありがとうございました。楽しかったです」



先生に家の近くまで送ってもらった。


車の中で、私は笑顔で先生に言った。


本当は帰りたくない…。


だけど、また明日も会えるから…辛いけど笑顔でバイバイを言えるんだと思う。



「俺も楽しかった…ありがとう。あと…ゴメンね…」


「どうして謝るの?」



私は先生の顔を不思議そうに見た。



「リサちゃんのこと…呼び捨てにしちゃったから…」



なんだ…そんなことか。



「嬉しかったよ…。名前を呼び捨てされたこと」


「良かった…。じゃー…これからもリサって呼んでいい?」


「うん…」


「リサ…。また明日ね」


「うん。また明日…」



私は車から降りて、先生の車を見送った。


先生の彼女になれた。


夢じゃないよね…。


私は、自分のホッペをつねってみた。



「いたっ!」



ホッペに痛みが走る。


夢じゃなかった…。


私は、家に向かって歩き始めた。