「俺に質問ある?」
質問…。
う~ん…。
「名前…」
私は、ポツリと呟いた。
男性なのに"はるか"という名前が気になってしょうがない。
先生の顔を見た。
「名前のことはよく聞かれるんだよね」
と、笑いながら、スーツの内ポケットから
手帳とボールペンを出した。
「"はるか"は…春の海って書くんだ」
先生が手帳に自分の名前を書く。
手帳に書かれた字を見つめる私。
「女だと思った?」
「えっ?」
私は顔を上げて、先生の顔を見る。
「……うん…でも…どうして?」
「俺を見た時、リサちゃん、目を見開いて固まってたから」
「ゴメンなさい…」
「謝ることないよ。俺のこと知った人は、だいたいリサちゃんと同じ反応するから。もう慣れっ子だよ」
先生は笑いながら言った。



