「……お前な~」
深々とため息をついた俺。
「そんなのが別れの理由になってたまるかっ!」
掴まれた袖を振り放した。
――…すると
「そう言うと思った…。でもさ、私マジだよ」
山岡さんは携帯を取り出した。
「先生これ見て」
携帯には弥生の写真があった。
「………!?」
「…自分はよくても彼女は違うでしょ?」
「…どういう意味だよ」
「この人先生の彼女でしょ?私みたいに事故でもあったら大変だよね…バイクだし」
彼女の話し方から、このままだと弥生に危険が迫るってこの時感じた…。
「……弥生になんかしたら許さねぇ」
俺の腕を引っ張ると山岡さんは
「じゃ約束して?もう彼女と会わないって…別れるって…」
面白いだろうな…
俺は彼女の思い通りのままになってるんだから……。
――初めて味わう悲壮感だった。