「何で松下さんなの?」
「あたしの方がよっぽどカワイイんだけど!」
あたしは教室で一人。
いろんな人の声が聞こえてくる。
ううん。
わざと聞こえるように言ってるから。
櫻井君は先生に呼ばれちゃってるし…
「ねぇ松下さん。どんな手を使ったの?」
さっき櫻井君に話しかけて来た女があたしによってきた。
「……あたしは何もしてません」
あたしは顔を上げずにそのまま言った。
「ふぅん…やらしい女」
それだけいって去っていった。
何よ…
やらしい女って
ホントにあたしにだって解んないもん!!
こんなあたしのどこがいいのかなんて!
「あゆ?どうかした?」
櫻井君…
戻って来たんだ。
「…何でもないよ?」
あたしは笑顔を作った。
櫻井君に心配させたくないから。
「あゆ、ちょっと来て」
櫻井君はあたしの手をとり、教室から出た。

