500年の復讐




 意識が異端審問官の言葉ではっきりしたらしい。
「・・・・・おいっ!!ちょっと待ってくれっ!!」

 『獲物』は体をなんとか動かし、壁によりかかった。
「俺は確かにサーシャの夫だったよ。でもそれは昔の話だ。俺はこいつを捨てた。もうこいつとは無関係なんだっ!!」
 異端審問官は歯を剥き出して命乞いをする『獲物』を面白そうに見下ろしている。斧は冷酷な光を放っている。
「だからやめてくれっ!!まだ死にたくないっ!!」
 異端審問官はしゃがみ込み、耳元に顔を近づけた。

「夫じゃなくても、関係しているじゃないか」

 異端審問官は喉元を指差し、
「ここ、何だと思う?ドクドクしてるだろう?」
「やめろっ!!やめてくれっ!!サーシャ!!なんとかしてくれ!!」
 『獲物』が私を見た。その顔に私は耐えられず背いた。異端審問官がやりたいのは分かっている。
 異端審問官は口が裂けるほど笑い、
「可愛そうに・・・・妻に捨てられた夫の気持ちは分かるよ。」

 そう言って、静かに斧を喉に当てた。血が飛び散る。