「おい、起きろ」
異端審問官はしゃがみ込んで、『獲物』を覗き込む。
「おい、おいっ」
語気が荒くなる。それでも『獲物』は目を覚まさない。
すると異端審問官は部屋の角にあった水桶を持ってきて上から水を掛けた。
「――――寒い―――――」
かすかに目を開けた。『獲物』の目は私を捉えて、
「―――サーシャ・・・サーシャか?お前、サーシャじゃないか。なぁ、俺どうしたんだよ。突然後ろから布を押し当てられて、目が覚めたらこんなんなっちゃって。」
さっきまで気を失っていた『獲物』が一気にまくし立てる。私は口を開けて聞いているしかなかった。
それを面白そうに上から眺めていた異端審問官が『獲物』に顔を近づけた。
「私は異端審問官のレイアス・バイヤーだ。お前の妻、サーシャ・サユベルは魔女容疑
に架けられた。私の方針は魔女容疑の奴の関係者をこの手で殺すこと。お前も立派な関係者だ。殺させてもらうよ。」
目は見開き、口を半開きにして、あの斧を取り出した。


