カツーン カツーン 誰かの靴の音だ。こっちにやってくる。起き上がる。と、両腕を引っ張られた。見ると黒く錆びた鎖だ。妙に重い。 私は無実なのに――――。しかし、あんな異端審問官は聞いてくれないだろう――― カツーン カツーン 靴の音は私の居る部屋の前で止まった。 チャランッ 鍵束の音―――。 耳障りな音を立て、古木の扉は開かれた。 ギィィィィ・・・・