「『は?』じゃなくて。」

「雫、あんたカラオケでマサ君が何話したかも覚えてないの?」

「カラオケ?行った事は覚えてる。」


でも、マサ君と話した事すら曖昧だし…。


「もう!雫は禁酒した方がいいよ絶対!!」


電話の向こうで菜々の深いため息が聞こえた。


「そんなぁ。意地悪言わないで教えてよぉ、菜々ちゃん〜。そのカラオケでの話って重要な事なの!?」


そう菜々にお願いしている時だった。

突然後ろから携帯を奪われ、振り返るとマサ君がいた。


「あ、もしもし菜々?教えなくていいから。俺がもう一度自分で話すよ。………ま、そんな所だな。…わかったよ、じゃあ。」


私は訳がわからないまま、菜々と話しているマサ君を見つめていた。

そしてマサ君は私に返してくれないまま、通話を終わらせてしまった。


まだ、話途中だったのに…。


「はい、返す。」

「あ……うん。」

完全に通話の切れた携帯を返して貰っても…。

なんか、私、ものすごく大事な事を忘れちゃってるのかな……?

それを菜々に教えて貰おうとしたから、マサ君呆れてるのかな?