「一緒に?二人で一緒にホテル出るの?」

「普通そうでしょ?」

「だ、駄目だよ。誰かに見られたら、マサ君彼女さんにばれちゃうよ!」



そう、マサ君には彼女がいる。
私とマサ君より2つ年上の凄い美人だってサークルの仲間に何度も聞いた。

だからこそ、私はマサ君が好きだけどなかなか気持ちを伝える事が出来なかった。


こんな事になっちゃったけど、マサ君には幸せでいて欲しいから。


私はマサ君の腕を掴んで、必死に訴えた。


「私ね、マサ君に迷惑かけたくないの。昨日の事、正直言って全然覚えてない。でも、酔ってたとはいえ、彼女がいるの知ってて誘ったりして…………私最低だと思う。なのに、さらに酷い状況になったら……。」



あれ?
私まだお酒抜けてないのかな?

話してたら、どんどん涙が溢れてきた。


「ね?私に気を使わなくていいから、別々に出よ?」

涙目で訴えると、マサ君は困った顔をして前髪の辺りをポリポリと掻いた。


そして少しの沈黙の後、私を優しく抱き締めて言った。


「ありがとう。大丈夫だから、一緒に行こう?」


私の肩を抱き寄せたまま、バッグを抱えてどんどん歩き出す。


「で、でも、マサ君!」

「大丈夫♪」

私の言葉を遮る様に、そう言って笑った。