『以上で生徒総会を終わりにします。
先生方から何かありますか?
…………無いようなので、3年生から順に教室に戻ってください』

 やっと生徒総会が終わり安堵のため息をつけば、

「ちぃ、幸せ逃げちゃうよ?」

 可愛い声が聞こえてくる。

「ミドリ、よく3分で言い切ったわね。あの行事予定」

「でも、あの行事予定まだホントに予定だけみたい。
予算とかで今の段階から減らしてやるだって」

「ふーん。じゃぁ、当分仕事はなさそうね」


「それがね?」

 少し楽しげな表情のミドリに「何?」と聞けば、

「千紗!」


 ミドリより先に誰かが話し掛けられた。


「あれ、雄太郎(ゆうたろう)どうしたの?」

 私に話し掛けてきたのは、色とりどりのファイルが入った紙袋を両手に下げた会計の林雄太郎(はやしゆうたろう)だった。

 雄太郎は、さっぱりとした短めの髪型に犬みたいな愛らしい顔立ちをしている。