◆……
見た感じ重そうな扉の鍵はかかっていない。
この扉の向こうは、屋上だ。
こんなクソ寒い日に屋上にいるなんて考えられないが仕方ない。
キィーっと古びた音が響くなか、見た目通り重たい扉を押す。
扉から外の様子を見るかぎり雲一つない晴れ。
意を決して屋上に一歩踏み出せば、冷たい風が吹き付ける。
「………さぶい」
「死ぬ〜」
両腕を抱きながら辺りを見回すと、壁に寄りかかって寝ている金髪の男を見つけた。
「あ、いた」
そそくさと男の近くまで来た後、その金色に染まった髪の毛をわしづかみにし、左右に振った。
「起きてよ」
「…………んー。
……何だよ、クソ女」
「クソ女ですって?トンカチで頭叩き割ってあげようかしら」
「あれ、ユウ何やってんだ?」
岩佐啓輔(いわさけいすけ)――私をシカトしやがって。
本当に、トンカチ取りに行ってやろうかしら。

