「あぁ!カジね。名前だけだけど、知ってると言えば知ってるわ」
「アライはさ、カジの手下みたいなヤツ。最近、良い噂聞かないからもしかしたらなんかあるかもね。
どうせ、俺とは別件でケースケのとこ行くんでしょ?俺よりケースケのが詳しいから話聞いてみて」
「分かったわ、ありがとう」
ソファーから立ち上がり、教室から出ようとすると、腕が引っ張られた。
引っ張られた方向に身を任せると祥也が「ここ」と自分の首の少し下辺りを指さしている。
「なによ?」
「キスマークついてるけど?」
「っ?!」
急いで手鏡を見て確認すると、うっすらと赤い跡があるではないか。
タツキのやろう………。
手元にファンデーションがないため、リボンの位置を調節しブラウスで隠れるようにした。
「千紗の淫ら〜」
「ば、馬鹿にしないでよ!」
「教えてあげたんだからお礼は?」
「どうもありがとうございますっ!」
恥ずかしさと苛立ちから足早にこの場から去った。

