ココは、教室というより元部室(何部が使っていたのか知らないが)だったのだろう。赤いソファーが大小あわせて二、三個置いてある。
その中の一番大きいソファーには、半裸状態の男と女。
茶髪に整った顔立ちを持つ男――神崎祥也は別として、女は驚いて目をぱちくりさせている。
そりゃ、生徒会長が傘を持って行為中の自分達の邪魔をしてきたのだ。
驚かないほうがおかしいだろう。
「何だよー、千紗ぁー!
せっかく良いところだったのにさ!
………ねぇ、ヤル気失せちゃったからまた今度ね?」
近くにあった女の制服を肩に掛け「バイバイ」と手を振る祥也。
女はただ呆然としていたが、さっさとこの場から去っていった。
「で、何?
もしかして千紗、俺としたいとか?」
「そんなわけないじゃない」
「じゃあ、何で?
あっ……、そっか、遂に、俺に射ぬかれちゃったんだ」
「逆に射ぬいてあげるわ」
「ほー。千紗って結構大胆なこと言うね」
「綺麗にハートを射ぬいてあげるわよ」
「遂に俺、千紗に心奪われちゃうんだー」
「あら、何言ってるの?心なわけないじゃない。
ハート=心臓って習わなかった?
今から弓道場行く?」
誰がアンタに惚れるもんですかっ!
できるもんなら私の前から抹消したいくらいなのに。

