職員室から離れたこの教室―――
ドアノブの脇を見ると鍵が閉まっている様子。
「……んぁ、……ぁぁっ、……ぁあっ!」
微かにだが、女の声が漏れているのが分かる。
「はぁー」
「こりゃあ、最中だね」
「最悪」
ブレザーのポケットからマスターキーを取り出す。
中にいる二人(だと思う)に気づかれないように静かに鍵穴に鍵を入れる。
ここまでは順調。
さぁ、ここからだ。
耳を澄ませ、女が絶頂に達する瞬間を見計らって鍵を右に回す。
「………よし、開いた」
行為中は、さすがに気まずいがしょうがない。
おもいっきりドアを開け、
「神崎祥也(かんざきしょうや)ぁあっ!」
叫び声と共にずかずかと教室に入っていく。

