「ハヤシっちこーみえて、すっごーい強いのっ!」
ミドリ、“こーみえて”は余分だと思うけど、あえて否定しないでおこう。
だって実際“こーみえて”強いんだから、雄太郎は。
「……雄太郎くんって、何者なの?
どこか抜けてるようにしか見えないけれど……」
「美羽子センセー、ヒドイよー!」
「あははっ、美羽子ちゃん、雄太郎はね?中学まで空手やってたんだよー!」
「……やってただけ?」
どうやら、村上先生の頭の中で“雄太郎=強い”という方程式は成り立たないらしい。
「美羽子センセー!一応、全国大会まで行きましたけどっ!」
ガタッと立ち上がり選手宣誓の様なポーズで声を張り上げる雄太郎にタクは足蹴をした。
「――っい!?」
痛さに悶えている横で「そうなのぉ」とやっと方程式が成り立ったらしい村上先生が頷いている。

