クリーム色を基調とした保健室には、そわそわしたミドリ。
「ちちちちっ」
目に一杯涙を溜めたミドリは、それを零しながらぺたりと床に沈んだ。
「ミドリ……」
「……っ。ちいっ……。ごめんね……」
「何でミドリが謝るの?ミドリは何も悪くないじゃない……」
「はいはい。笠井は熱があるんだからベッドで寝てな。で、坂桑は頬を冷やすか?」
私とミドリの会話を遮ったのは養護教諭の石谷先生。 すらりとした身長に、細めの黒フレームの眼鏡が光る甘いマスク。
結構人気のある先生の気がするけど、ミドリやいとこの梨海によれば、タツキが一番らしい。
さあさあ、と石谷先生はミドリをカーテンの奥に押し込み、私に丸イスを勧めた。
「林は何やってんだ?」
「え?いや……ケイがいるかなぁって」
ミドリが押し込まれた所以外のベッドを覗く雄太郎。
ケイって啓輔のことよね?
そういえば、啓輔ってよく授業をサボって保健室で寝てるんだったわ。

