「ごめん。ごめんね、千紗。大丈夫?どこか痛いところは?」
「……っ。雄太郎っ……」
「怖かったね、痛かったね。守るって約束したのに……」
「大丈夫、よ。そんなに自分を責めないで」
「保健室、行こう。ほら、肩貸すから」
雄太郎の肩を借りて、ゆっくりと廊下を歩く。
それも、授業のやっている教室の前を通らないように、細心の注意を払って。
「雄太郎、授業は?」
「腹痛で保健室行ってきます、って言って出てきた。千紗、全然来ないから、心配だったんだ」
「……ミドリは大丈夫かしら?」
「先に保健室にいるんじゃない?きっと、知恵熱かなんかで授業出来ないと思うから」
「そう……。ねぇ、どうしてあそこにいるって分かったの?」
そう。
私はよりによって人気の少ない近道を選んでいたから、雄太郎が何故私を見つけられたのか不思議だったの。
雄太郎はくすりと笑って、それはね、と口を開いた。

