「Avez-vous compris?」

「ここは“日本”だ。“フランス”じゃない。日本語話せるんだから日本語話してよ」

「フランス語、分からないの?」

 なんで分からないのよ、が含まれたその口振りに、呆れるしかない。

「もちろん」

 今も昔と変わらず、コイツはどう考えても俺を馬鹿にしてる。

「タクシー、呼んでもらえる?」

「はいはい」

 俺は“仕方なく”タクシー会社に電話をし、呼び付けた。

「ホント。要領悪いタツキが好きだって思ってるちぃの脳ミソが素敵だわ。
今度、サクッと切って断片図でも見せてもらおうかしら」

「学校の先生なめんなよ?」

「あらっ。いつのまにか教師になったの?
さらに疑問点が増えちゃったじゃない。『どうしてちぃは、ちんちくりんで安月給なこんな男を昔から愛してるか』ってね」

 ほーう。

 ずいぶんと興味深いこと言っ――は?