「……私が傷つけばいい。私だけが傷つけばいいっ!!」

「そんなことないのっ……。ちぃ、ひとりで解決しようとしないでっ」

「だってっ……」

 ぎゅうっと、抱きつくよりしがみつくように。

 不安や恐怖に押し潰されるんじゃないかって、また、怖くなって。

「大丈夫。俺たちが守る」

 そんな雄太郎の一言に、すがりたくなってしまうんだ。

 きっと。
 佐野は、私のことも調べ尽くしてる。

 今、実家に帰ってないと知られてしまったら、すぐにあのマンションを見つけだし監視するに決まってる。

 ……もしかしたら、鍵を作って家に上がり込んでくる可能性だって捨てきれない。

 アイツは何をするか分からないのよ……。

 ゆっくりと深呼吸を繰り返し、呼吸を落ち着かせ、立ち上がる。

 ……佐野の思い通りになんてさせない。

「私は『助けて』とは言わないわ。別に、意地を張ってるわけじゃない。
……ただ、雄太郎やタクに『協力』してほしいの」

「ははっ。千紗らしいね」

「……ああ」

 4年前は、祥也に『助けて』もらった。

 だから、佐野は諦めなかったのかもしれない。

 私は、泣いてなんかいられないし、涙が似合う女でもないもの。

 夜な夜な枕を濡らして悔しい思いをするくらいなら、私は痛みを受けても正面からぶつかってやる。

 だから、私は決めたんだ。

 少し寂しくなるし、誤解を生むかもしれないけど、私にはコレしか浮かばないから。

 本当の『幸せ』を掴むために――