「疲れた〜。なんでこんなに部活多いのかなぁ」

「知らないわよ。
ねぇ、タク。明日、午後までかかりそうよね?」

「まあな。おい、笠井」

「帰る?ちょっと待って!」

 鞄に荷物を詰めるミドリを横目で見ながらファイルを片付ける。

「千紗ぁ。俺たちも帰ろっ」

「え"?一緒に帰るの?」

「だってその方が、すぐ噂になって広まって、泰明くんの耳に入ると思わない?」

「耳に入ったところで『はい、そうですか。諦めます』なんて言う奴じゃないと思うけど」

「とりあえず、フェイクなんだからしっかりしてよっ」

 雄太郎に背を向け、手をひらひらさせる私。

 だいたい、雄太郎と偽カップルやってること、タツキになんて言えばいいのよっ。

 雄太郎に送ってもらってただけで、あんなにヤキモチ妬いて、不安そうにしてたんだから。