「作戦その1」
「えっ?」
「俺、林雄太郎は、坂桑千紗と付き合ってますっ」
「はあっ?!何言ってるのよっ」
「作戦って言ってるだろ。おとなしく聞け」
「作戦その2!タクはどんな時でもミドリちゃんを守り、俺は千紗を守りますっ!!」
「この作戦は俺たちが考えた。作戦1は、坂桑と長谷川のことがバレないようにするためのフェイク。
作戦2は、4年前と同じことが起きないように配慮した結果だ」
「どう?この作戦」と得意げな雄太郎はニカッと笑いかける。
タツキに似てる、けど。
全然違う笑顔に、頼りたくなってしまうのは、きっと。
「……私は、林雄太郎と付き合ってます……」
生徒会のみんなが大好きだから。
「ちぃっ」
「珍しく素直だな」
「で、たっちゃんには言わないんでしょ?」
そう。一番の問題は、タツキに言うかどうか。
別に言ってもいいのかもしれないけど、心配だけはかけたくない。
それに……。
「タツキには言わない。4年前のことはタツキには関係ないから」
「頼ればいいのに」
「みんながついてくれれば、そんなに酷くならないだろうから。なるべく、心配かけたくないのよ」
タツキが気が付く前に、嵐は過ぎ去ってくれるわよね?

